配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
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研究概要 |
本研究は,層状酸化物高温超伝導体(Bi_<1-x>Pb_x)_2Sr_2CaCu_2O_y(BPSCCO)(x=0,0.15,0.2)単結晶に内在する固有ジョセフソントンネル接合超格子の量子トンネル現象を明らかにするとともに,同超格子を用いた新機能デバイスを創出することを目的として実施した.以下に得られた成果をまとめる. 1.電子ビームリソグラフィを用いた微小固有ジョセブソン接合素子作製技術を開発した.これにより,数ミクロンサイズからサブミクロンサイズまでの素子を精度良く作製できるようになり,再現性のある電流-電圧特性の観察が可能となった. 2.接合面積の微小化に伴い,サブミクロン領域においては固有ジョセブソン接合特性に対するクーロンブロッケード効果の影響が見られた.また,臨界電流の温度依存性が接合面積に依存した系統的は,熱ゆらぎの影響によりジョセフソン効果が抑圧されることに起因していることを明らかにした. 3.固有ジョセフソン接合で観測される超伝導エネルギーギャップの温度依存性は,d波オーダーパラメータを基本とする電子間引力を導入することにより良く説明できることがわかった. 4.超伝導状態から電圧状態昏のスィッチング機構は,基本的には熱活性過程であるが,低温になるほど多数接合のスイッチングモードに依存したスイッチング確率が生ずることがわかった. 5.固有ジョセフソン接合におけるボルテックスダイナミックスに対する熱ゆらぎの影響をシミュレーションにより検討した結果,有限温度においてバイアス電流が低い場合,ランダムな熱活性ボルテックスフローが生じ,多数接合の同期現象が観測されないことがわかった. 6.固有ジョセフソン接合を痢いた量子干渉素子を作製し,その動作特性を評価した.その結果,対称性の良い明瞭な量子午渉現象の観測に成功した. 7.Fe(あるいはCo)/BSCCO固有ジョセフソン接合からなるハイブリッド素子を作製し,固有ジョセフソン接合特性に対するズピン注入の影響について評価した.その結果,スピン偏極電子の注入効果による臨界電流の減少が確認され,同素子のスピン注入デバイス応用への足掛かりを得ることができた.
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