研究課題
基盤研究(B)
(1)グレリンの遺伝子発現調節機構についてグレリンの発現・分泌調節はグレリンの生理作用を調節する上で非常に重要であるが、グレリンの発現・分泌を調節する因子としては、現在のところ空腹シグナルしか知られていない。そこでグレリン遺伝子発現を調節する転写因子の研究に取り組んだ。グレリン・プロモーター配列において、これまでに明らかでなかったグレリン遺伝子発現の抑制領域を見出した。またグレリン遺伝子のプロモーター活性を調節する転写因子として、抑制性のNF-kBと促進性のNk×2.2が関与していることを見出した。グレリン遺伝子のプロモーター領域に抑制性の領域を見出した。この結果グレリン遺伝子は正負のバランスによって発現調節が行われていると考えられた。またリポポリサッカライド(LPS)投与によって敗血症性ショックに陥るが、このとき血中グレリン濃度の減少が見られる。LPS投与によってToll-like4受容体が活性化され、引き続いてNF-kBが活性化される。NF-kBによってグレリン遺伝子のプロモーター活性が抑制されることから、LPS投与による血中グレリン濃度の減少にはNF-kBが関与している可能性が強いと考えられた。(2)ニューロメジンUによる性成熟の調節機構NMUは下垂体細胞にも存在することから、NMUの下垂体ホルモンに対する効果が想定されていたが、詳細は明らかではなかった。今回われわれはNMUが下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌調節を行っていることを見出した。ラット下垂体の初代培養細胞を用い、LH、FSH放出に対するNMUの作用を調べた。また野生型マウスとNMU欠損マウスの雌で、春期発動の指標である膣開口日を調べた。その結果NMUはラット下垂体細胞からのLH放出を抑制した。NMU欠損マウスでは、野生型マウスよりも膣開口日が早まった。NMUは性腺刺激ホルモンならびに性成熟に影響を与えることが示唆された。NMUを利用して性周期のコントロールに応用できる可能性が示された。
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