研究課題/領域番号 |
16390328
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 忠史 独立行政法人理化学研究所, 老化・精神疾患研究グループ, グループディレクター (30214381)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
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キーワード | 双極性障害 / 小胞体ストレス / XBP1 / 神経細胞 / 神経発達 / 神経可塑性 / x-box binding protein / 小胞体ストレス反応 |
研究概要 |
我々は、一卵性双生児不一致例の遺伝子発現解析から、躁うつ病に小胞体ストレス系が関与していることを示した。小胞体ストレス反応を低下させるXBP1遺伝子の-116多型については、当初双極性障害との関連を報告したが、欧米人における追試で否定された。一方、リチウム反応性との関係、統合失調症との関連について、一致した結果が報告された。 我々はXBP1が神経細胞内で樹状突起・軸索から細胞体に神経可塑的変化を伝える転写因子として機能しているのではないかとの仮説を立て、検討を進め、XBP1が樹状突起に存在し、局所で翻訳され核移行することを見出した。更に、誘導されたXBP1が転写因子としてどのような働きを持つかについて検討するため、神経芽細胞腫由来培養細胞であるSH-SY5Yに活性型XBP1を過剰発現させ、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現解析を行った。XBP1により発現が増加した遺伝子のうち、最もp値が低かった遺伝子は、WFS1であった。WFS1の上流配列を調べると、種間で保存されたERSE(ER stress response element)様配列が見出された。そこで、ヒトゲノムの全遺伝子中において、上流1kb以内にERSEを持つ遺伝子を探索したが、この遺伝子リストに含まれるのは、WFS1のみであった。プロモーターアッセイの結果、このERSEがXBP1過剰発現によるWFS1の発現誘導に重要であることがわかった。 WFS1は、常染色体劣性遺伝疾患Wolfram病の原因遺伝子であるが、この疾患の患者の60%は精神疾患を伴っており、保因者でも精神科入院歴や自殺未遂が有意に多く見られることから、精神疾患との関連でも注目されている。これらの結果からXBP1が神経発達および可塑的変化に関与する転写因子であり、XBP1からWFS1に至る小胞体ストレス系が精神疾患の病態に関与する可能性が示唆された。
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