研究課題/領域番号 |
16390499
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
根木 昭 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00189359)
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研究分担者 |
中村 誠 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80273788)
山本 博之 神戸大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (60335453)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 緑内障 / 網膜神経節細胞 / グリア細胞 / アポトーシス / 高眼圧 / AKt / インスリン / IGF-1 / 糖尿病 |
研究概要 |
上強膜静脈焼灼実験的ラット慢性高眼圧モデルを作成し、網膜神経節細胞にアポトーシスを誘導した。この網膜において、アポトーシスに拮抗するインスリン・IGF-1受容体・Akt経路の活性化が生じていることを見出した。これは緑内障眼において内因性に抗アポトーシスシグナルが活性化されている一方、その程度はアポトーシスの抑制には不十分であることを示す新知見である。さらに我々は慢性高眼圧モデル網膜においてグリア活性に特徴的な変化が生じていることを明らかにした。すなわち、正常眼ではアストロサイトにしか発現の見られないglial fibrillary acidic proteinが、高眼圧眼ではミュラー細胞にも発現し、眼圧が正常化した後もその変化が持続した。さらに、長期経過においてこの変化は上強膜静脈焼灼側にとどまらず、対側にも生じていた。緑内障性視神経症の発症機序は未だ不明であるが、近年免疫異常の関与が推測されるようになっている。上記の観察結果は、片側網膜に対する高眼圧ストレスが何らかの異常免疫応答を介して対側眼のグリア機能に変化を及ぼしている可能性を示すものかもしれない。 このような網膜神経細胞のアポトーシスやグリア活性の変化は、糖尿病網膜においても血管症発症以前から見られる。近年多くの緑内障点眼薬が眼圧下降作用以外に神経保護作用を有することが報告されている。ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット網膜では活性型カスパーゼ3の免疫染色性が高まり、網膜神経細胞のアポトーシスが増加する。我々は、その片眼にプロスタグランジンF2α誘導体のラタノプロストを点眼すると、アポトーシスが対側眼に比べ有意に抑制されることを見出した。ラタノプロストは網膜内のp44/p42 mitogen activated protein kinaseのリン酸化を亢進させていたが、Aktのリン酸化は引き起こさず、特異な細胞内情報伝達経路を賦活化させていた。これは点眼薬を用いて糖尿病による網膜神経変性を抑制できる可能性を示した重要な新知見である。
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