研究課題
基盤研究(C)
海外直接投資(FDI)の立地選択は多国籍企業が国際ビジネス拡大を進める際、重要な課題である。本研究は、1980年から2002年までの中国28省・市に進出した日系企業の現地法人2951社および1991年から2002年までの中国26省・市に進出した台湾企業の現地法人1287社の分析に基づき、どのような企業が、いつ、中国内のどの地域に、進出しているかを考察し、さらに、日本と台湾の対中投資の地域選択戦略と地域投資環境のそれぞれの経済、投資、就労などの条件とは、どのような相関関係があるか、何かパターンがあるのかということを解明することを行った。本研究は12個の地域選択要因から構成し地域競争力を測る4つの条件に展開し、自ら開発した地域選択モデルを構築して、クロスセクション・時系列集合データセットでテストした。実証分析においては、推定モデルが統計的に有効であり、日本と台湾企業の対中投資地域選択行動への説明力が高いという結果が得られた。日本企業の場合は、地域競争力の投資条件、経済条件および就労条件に関する仮説が支持され、投資条件と経済条件が日本企業の地域への進出に推進効果を持ち、そして、就労条件が逆の効果を持っことを明らかにした。しかし、基礎条件に関する仮説が予想に反して、日本企業の地域進出にマイナスの効果を持つことが分かった。台湾企業の場合は、海外直接投資の立地選択が経済条件と基礎条件よりむしろ投資条件と就労条件によって影響を受けることを明らかにした。更に、投資条件は就労条件より進出企業の立地選択に影響力が強いことが分かった。また、投資条件が立地選択に及ぼす影響がプラスの効果を持ち、就労条件からの影響がマイナスの効果を持つことを示した。研究結果は、中国進出日本企業と台湾企業の地域選択パターンへの理解および地域選択パターンと地域競争力間との相関関係への解明に貢献するものである。将来の研究に向け、産業別における対中立地戦略の研究分析の整理も進んでおり、その一部(仮題「lT産業における台湾企業の中国進出一立地戦略を中心に」)は秋までに国内の学会に発表する予定である。また、都市レベルでの分析も1つ重要な方向と考えられる。研究プロジェクトの研究補助期間が完了したが、整備した中国主要都市の地域投資環境のデータセットおよびモデル構築を再チェックし、分析結果をさらに整理・統合して、国際的な学術誌への寄稿することを目指している。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (6件)
The Study of Business and Industry 23
ページ: 23-35
40015441966
商学集志 第76巻 第4号
ページ: 1-15
40015425915
The Study of Business and Industry No.23
Nihon University Journal of Business Vol.76, No.4
the Study of Business and Industry 23
商学集志 第76巻第4号