研究概要 |
高密度大容量ハードディスクに高速低コストで高品質サーボ信号を書き込むべく,新規な磁気転写法(パターンドマスター磁気転写法)に関する研究を推進し,以下の成果を得た. まず第1に,転写時の重要な基本パラメータであるマスター・スレーブ間スペーシング及び転写磁場印加方向が転写特性に及ぼす影響を,実験とコンピュータシミュレーションにより明らかにした.磁気転写におけるスペーシングの影響は従来の磁気ヘッド記録に比べてかなり小さいことが明らかになった.また,マスターパターンに対して面内方向及び法面方向の斜め磁場が印加された場合の影響を定量的に見積もり,影響のメカニズムを明らかにした.この結果は,次世代サーボ方式である位相サーボパターンを転写する際にも有用である. 第2に,拡大モデル実験とシミュレーションにより,マスター媒体内部及び転写されたスレーブ媒体内部の磁化分布,転写条件と再生出力及び再生波形との関連を調べた.その結果,磁化分布が推定できるようになり転写条件と転写特性の関連が明確になった.また,再生波形に及ぼす転写磁場強度及びマスター媒体構造の影響や,サブピークの様子等が明らかになった. 第3に,垂直磁気ディスク用磁気転写の基礎検討を,拡大モデル実験及び3次元有限要素法シミュレーションにより行い,面内磁場印加方式の方が垂直磁場印加方式よりも優れた転写特性を有することを明らかにした.また,ビット長,マスター磁性層磁気特性,マスター凸部形状,転写磁場強度などが垂直磁気転写特性に及ぼす影響を明らかにした.
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