研究課題
基盤研究(C)
申請者らは、微生物代謝産物由来のデストラクシン、リベロマイシンAおよびコンパクチンの細胞や分子レベルでの作用解析を行なうと共に、新たに生薬代謝産物から新たな破骨細胞の分化および機能阻害物質を探索した。その結果下記のような結果を得た。1)リベロマイシンAの破骨細胞に対する高い選択性は、活性化破骨細胞のつくる酸性環境に起因することを明らかにした。リベロマイシンAは新たな骨吸収抑制としての臨床応用の可能性がある。2)デストラクシンは、破骨細胞の活性化構造体の形成に必要なシグナル分子(s-src、PI3kinase、Akt)の活性化には影響を与えなかった。3)コンパクチンはゲラニルゲラニルリン酸の合成を阻害することによって低分子Gタンパク質の活性化の抑制を介して破骨細胞の分化を阻害した。コンパクチンは破骨細胞の分化機構の解明に役に立つツールとしての利用が期待できる。4)薬用植物である黄連(Coptidis Rhizoma)、延胡索(Corydalis Tuber)などに含まれているアルカロイド類コプチシン、ベルベリンに破骨細胞の分化と骨吸収機能を阻害する活性があることを新たに見出した。両物質はRANKLにより誘導される破骨細胞の初期分化のシグナル分子であるp38やJNK、Iκ-Bのリン酸化には影響を与えないが、破骨細胞分化の後期に発現する転写因子であるNFATの発現を低下させ破骨細胞の分化を抑制した。
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