研究概要 |
発ガン性,環境ホルモン活性などを示す公害物質には芳香族化合物や含ハロゲン化合物が多く,いずれも水酸ラジカルによる分解を極めて受けやすい性質の物質である。溶媒抽出の水層,ドラフトスクラバーの洗液,実験廃液などとして事業所での研究において発生するこれらの物質の炎水界面反応による分解条件を決定する。以って,それら有害廃液の原点処理機の開発の為の基礎データとする。公害物質のモデル化合物として,2-クロルプロピオン酸,ブロム酢酸,ヨード酢酸,p-クロル安息香酸,p-クロルベンゼンスルホン酸,フェノールを使用して分解過程を追跡した。ハロゲンイオンの放出はイオンクロマトにより,芳香族化合物の減少はUV吸光度により,酸性物質の増加はpHと中和滴定により追跡した。また反応溶液の急性毒性の変化はブラインシュリンプ・テストで追った。 その結果,上述の物質は1〜2時間程度でほぼ完全に分解されることが分かった。また芳香族化合物の分解はUV吸光度の減少でモニターでき,また上述の全ての物質の減少はpHの低下と酸性物質の量の増加でモニターできた。反応溶液の急性毒性を追跡すると,出発物質の分解のため一度減少した後,再び増加した。これはフレームからNOxが供給されることが原因であることが明らかになり,反応溶液を中和することで毒性を無くすことができた。次にノニルフェノールの分解試験を行なったところ5時間の反応でほぼ完全分解できた。これらの結果より,芳香族有害物質およびハロゲン化物の分解を本法で行なえることが明らかになった。また分解状況の追跡はUV吸光度,pH,ブラインシュリンプテストで簡便に行なえることもわかった。以上のほか,反応溶液からの蒸気を凝縮させることが可能な試験用反応槽の試作・試運転を行い使用できることを確認した。
|