研究課題/領域番号 |
16657008
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西田 隆義 京都大学, 農学研究科, 助手 (60208189)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 捕食 / 非致死的効果 / 鳥 / 共進化 / 捕食回避 / 生物群集 / 自切 / 捕食-被食系 / バッタ / 休耕田 / 里山 |
研究概要 |
休耕田に生息するバッタ類に自切を引き起こす鳥類の特定、自切の適応度コスト、および野外で観察される自切率に合致する致死率・襲撃率について、野外観察、室内実験、およびシミュレーションを行った。これまでの研究から、自切を引き起こす鳥類は、昆虫食か雑食で、致死率がごく低く、かつ個体数の多い鳥であることが予想されていた。調査地以外での野外観察の結果もこれを裏付けるもので、いずれの地域においてもホオジロ・セキレイ類が多く、こうした鳥類が自切を引き起こす主犯であることが裏付けられた。自切の適応度コストは、雄では主に交尾成功の低下であり、雌では繁殖行動の抑制であることがあらためて確認された。さらに自切は、生存率には何ら影響を与えないか、むしろ行動の抑制を通じて間接的に生存率を高める可能性があることが予測された。すなわち、自切の非致死的効果は従来の捕食研究ではまったく評価できないことが明らかとなった。自切率についてのシミュレーションからは、コバネイナゴにおいて自切の適応度コストと野外生存率をともに満たすパラメター領域では、自切率は最大でも40%以下にしかならないことが分かった。その理由は、致死率が高い捕食者が自切の主因であるとすると、生存率が著しく低いことになり現実に適合せず、逆に致死率が極端に低いと自切が適応度に見合わない結果となるからであった。以上の結果を総合すると、休耕田のバッタ類に自切を引き起こすのは、昆虫食・雑食で致死率が低く、かつ個体数の多い小型鳥類であると結論できた。この結果は、バッタの死亡要因としては重要でない、小型鳥類が捕食の非致死的効果において重要であることを示している。
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