研究課題
若手研究(B)
6-メルカプトプリン(6MP)、メトトレキサート(MTX)による急性リンパ性白血病(ALL)及びリンパ芽球性リンパ腫(LBL)に対する維持療法の毒性と6MP、MTXの代謝関連遺伝子であるthiopurine S-methyltransferase (TPMT)、methylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR)、reduced folate carrier1 (RFC1)の遺伝子多型との関連について後方視的に解析した。6MP、MTX経口投与による維持療法が行われた20例を対象にした。6MP、MTXはそれぞれ40mg/m^2/日、25mg/m^2/週で投与開始。末梢血白血球数2500-3500/mm^3を目標に投薬量が調整された。TPMT 719A>G多型、MTHFR 677C>T多型、RFC1 80G>A多型について直接シークエンシング法あるいは熱変性クロマトグラフィーにより解析した。維持療法の中断と遺伝子多型との関連をロジスティック回帰の変法であるgeneralized estimating equations (GEE)法で解析した。また、6MPとMTXの平均投薬量と遺伝子多型との関連をtwo way layoutで解析した。全例第1寛解期、維持療法期間は10〜120週(中央値50週)。遺伝子多型の頻度は、TPMT 719A>G:AA 19例、AG 1例、GG 0例、MTHFR 677C>T:CC 11例、CT 8例、TT 1例、RFC1 80G>A:GG 6例、GA 7例、AA 7例であった。14例で造血障害、肝機能障害、感染症等による維持療法の中断が認められた。MTHFR 677C>TにおけるTアレル数が増えるにつれ、またRFC1 80G>AのAアレル数が増えるにつれ、維持療法中断のリスクが有意に増加した。6MP、MTXの平均投薬量と遺伝子多型との有意な関連は認められなかった。維持療法における造血障害や肝機能障害などの毒性の個体差に、MTX代謝関連遺伝子多型であるMTHFR 677C>T、RFC1 80G>Aが関与している可能性が示唆された。(投稿準備中)
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
J Pediatr Hematol Oncol 28
ページ: 64-68