研究概要 |
#1 大量メトトレキサート(MTX)療法における毒性発症の個体差と、MTX代謝関連分子であるMethylenetetrahydrofolate reductase(MTHFR)、およびReduced folate carrier 1(RFC1)遺伝子多型の関連を後方視的に解析した。15例の急性リンパ性白血病などの小児に対する43回のMTX投与を解析対象とした。MTHFR, RFC1の遺伝子多型の頻度は、MTHFR 677α/T: CC8例,CT6例,TT1例、およびRFC1 80G/A: GG4例,GA7例,AA4例であった。最も頻度の高い毒性はNational Cancer Institute, Common Toxicity Criteria(NCI-CTC)Grade3以上の血球減少であった。非血液毒性ではNCI-CTC Grade2以上の肝逸脱酵素値の上昇であった。投与開始48時間後のMTX血中濃度と毒性発症の関連をロジスティク解析の変法であるgeneralized estimating equations(GEE)法で解析し、口内炎の発症と有意な関連を認めた(p=0.03)。RFC1 80G/AにおけるGアレル数と毒性発症の関連をGEE法で解析し、NCI-CTC Grade2以上の嘔吐発症に有意な関連を認めた(p=0.04)。その他の毒性発症とRFC1 80G/A、およびMTHFR 677C/T多型に有意な関連を認めなかった。投与開始48時間後のMTX血中濃度とRFC1 80G/A、およびMTHFR 677C/T多型に有意な関連を認めなかった。大量MTX療法における嘔吐発症の個体差にRFC1 80G/A多型が関与する可能性が示唆された。(投稿準備中) #2 小児急性リンパ性白血病に対する6-メルカプトプリン,MTXによる維持療法における毒性発症による減量投与、休薬と薬剤代謝関連分子の多型の関連について解析を進行している。
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