研究課題
基盤研究(B)
本研究は、SNS利用経験のある若年者を対象として、SNS利用に対するリスク認知の特徴を明らかにするとともに、リスク認知を踏まえた情報モラル教育の教材の開発を行うことを目的とした。高校生を対象とした調査により、若年者にも自己リスクの楽観視 (第三者知覚) が頑健に存在することを明らかにした。その結果を踏まえ、自己リスクの楽観視に関する心理学的メカニズムの解説を含めた情報モラル教材を開発した。中高生を対象として講座を実施した結果、受講者は受講後に自己リスクの楽観視が低減することが示唆された。
本研究では自己リスクの楽観視の要因の1つとして自尊心防衛があることに着目し、その心理学的メカニズムを学習することで楽観視を低減する方略を考え、情報モラル教材に取り入れた。事例的に効果検証を行った結果、受講者の自己リスク楽観視は受講前より受講後の方が低減したことから、当アプローチが有効であることが示唆された。自己リスクの楽観視が存在することはこれまで多数の研究により報告されてきたが、その低減方略に関する研究はまだ少ない。本研究成果はその意味で学術的な意義、および効果的な情報モラル教材の開発事例として社会的にも意義のある取組みであるといえる。
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