研究課題
基盤研究(B)
細胞表面の抗原の高感度な検出を目指して、新しい酵素増感法の開発を目指した。本法(CARP法)は、加水分解酵素を用い、酵素反応により、蛍光性基質から親水性の部位が脱離することにより、疎水性となり、細胞質を染色するものである。以下のことを明らかとした。1. CARP法をβガラクトシダーゼに拡張し、従来のフォスファターゼを用いる場合に比べて、操作が簡便となった。2.CARP法の問題点である蛍光分子の細胞からの脱離を抑制するために、共有結合型の基質を開発した(CLAMP法)。これはキノンメチドを蛍光の母核内に導入した分子であり、酵素により親水部が脱離した後、細胞内に浸透して、タンパク質と共有結合した。
本研究では、がんなどの診断に利用されるフローサイトメトリー(FCM)の加水分解酵素を用いる増感を目的とした。従来、HRPを用いる酵素増感では、多色染色が困難であるが、本法では抗原の種類に対応した複数の酵素を用意することで、多色染色が可能である。これまでに2種の加水分解酵素に適用することができた。現在、新しい複数の酵素に拡張中である。このような新しい酵素は、FCMに限らず、さまざまなバイオ分析に適用可能である。新しく開発したCLAMP法は脱離が抑制できる点でより実用性が高い。本法に興味を持つ製薬企業が、現在、抗がん剤のコンパニオン診断法として試験を実施している。
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