研究課題
基盤研究(B)
新規技術は、新たな視点を提供し、新たな発見をもたらす。本研究では、代表者が開発した神経細胞の「誕生日タグづけ」という新規技術を用いて、神経系の構築原理を探った。この技術のねらいは、「誕生日」という古典的な神経細胞分類法を、現代神経科学に応用することである。「誕生日」による分類を、神経活動操作や軸索終末トレースなどの発展的技術にシームレスに繋げることができる。本研究では、この新規技術が最も真価を発揮すると予想される1.二次嗅覚系、2.網膜視覚系、3.脳幹網様体系、の3つを取り上げて解析した。本報告書では、そのうち特に大きな成果をあげた二次嗅覚系に的を絞って説明する。
並列処理は感覚情報処理の基本である。例えば視覚系は、眼で受け取られた視覚風景の中から「色」「線の傾き」「動き」といった異なる特徴を抽出して並列処理することで、エッジの効いた属性情報へと転換し、我々が「物をどう見るべきか」を一義的に決めている。本研究では、代表者が新規開発した「誕生日タグづけ法」を用いることで、嗅覚系にも並列回路が存在することを明らかにした。この結果は、動物が、同一セットの匂い情報の中から、何らかの特徴を抽出し強調して、異なる出力へとつなげる複数のチャネルをもつことを意味している。今後「誕生日タグづけ法」を利用して、嗅覚がもつ複数のチャネルの機能的意味に迫りたい。
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