研究課題
若手研究(A)
地球が酸素や炭素、水素といった揮発性物質を獲得するメカニズムを知るには、地球深部の酸化還元状態を理解することが欠かせない。地球深部の温度圧力状態を再現するために、高温高圧実験システムを構築し、地球構成物質の性質を実験的に研究した。温度勾配を大幅に低減できる新しい実験方法、抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセル法を改良し、これまでになく高い圧力において実験を行うことができた。実験結果から、酸化還元状態異常が、地球深部物質の融けやすさや、物性に大きな影響を与えることが明らかになった。
酸素は天体物質を普遍的に構成する根源的に重要な元素であるが、地球深部の酸素雰囲気(概ね酸素量に相当)は未だによくわかっていない。地球深部の酸素雰囲気は、遷移金属の酸化数を通しマントルの性質を支配しており、深部マントルの構造やダイナミクスを決定付ける重要なパラメータである。同時に深部酸素雰囲気の変動は、表層環境の酸化還元状態を激変させ、酸素を必要とする全生命の永続性に大きな影響を与えうる。本研究では、地球深部酸化還元状態とその進化を明らかにするために、実験的なアプローチで研究を進めた。得られた成果から、地球深部酸化還元状態と物理・化学特定との、これまで知られていなかった関係が明らかになった。
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