研究課題
若手研究(A)
本研究では、成熟破骨細胞由来exosome (OC exosome)が骨芽細胞遊走性制御能を有することを見出した。このメカニズムは、別途明らかにしたOC exosomeの機能であるRANKL逆シグナル入力能には依存しないことが確認され、OC exosomeは、RANKL逆シグナルリガンド以外の生理的な活性変化を惹起するリガンドも保持する多機能複合体として骨代謝を制御することが示唆された。また、OC exosomeが骨吸収部位に強く局在することも明らかとなった。0C exosomeが放出される時間・空間制御を考慮すると、骨吸収から骨形成へのカップリング制御の重要因子であることが示唆された。
骨吸収と骨形成の反復(骨リモデリング)は骨量・骨質維持に重要である。本研究では、この骨吸収から骨形成へのカップリングに重要な因子として、破骨細胞が放出する細胞外膜小胞に注目した。これまでの研究および本研究成果をあわせると、破骨細胞由来細胞外膜小胞は、骨吸収から骨形成への移行を促す作用を細胞分化の点で制御するほか、骨芽細胞の運動性にも影響を与えていることが見出された。これらの成果は、膜小胞というタンパク質複合体が、複数細胞が関わる複雑なカップリング現象に関して多面的に関与していることを示しており、この膜小胞の更なる解明が骨代謝理解促進に重要であることを見出した学術的に意義深い研究である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Nature
巻: 561 号: 7722 ページ: 195-200
10.1038/s41586-018-0482-7