研究課題/領域番号 |
16H06389
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮崎 徹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30396270)
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研究分担者 |
岡上 武 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20150568)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2020年度)
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配分額 *注記 |
173,940千円 (直接経費: 133,800千円、間接経費: 40,140千円)
2020年度: 28,990千円 (直接経費: 22,300千円、間接経費: 6,690千円)
2019年度: 30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2018年度: 27,300千円 (直接経費: 21,000千円、間接経費: 6,300千円)
2017年度: 26,520千円 (直接経費: 20,400千円、間接経費: 6,120千円)
2016年度: 61,100千円 (直接経費: 47,000千円、間接経費: 14,100千円)
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キーワード | NASH肝癌 / AIM / 脂肪肝 / NASH / NAFLD / IgM |
研究実績の概要 |
NASHはその一部が肝癌へと進行することから有効な治療法、診断法が求められている。これまでの研究によりNASH肝癌において癌抑制効果をもつことが既に明らかになっているAIMは、体内で通常IgMに結合しているが、IgMから解離して活性型となってはじめて癌抑制効果を発揮すると考えられている。そこで、本研究ではIgMからAIMを解離させるメカニズムを明らかにし、内在性AIMの活性化によるNASH肝癌治療を目指す。同時に、活性型AIM量と疾患の関連性を見出すことで、新しいNASH肝癌の早期診断・予後予測の樹立を目的とする。 H29年度は、前年度に樹立した活性型ヒトAIMのみを検出するELISA系を用いて、NASH-HCC、NASH、NAFLD患者検体の測定を行い、NASH-HCC患者における活性型AIM濃度の有意な上昇を見出し、論文発表を行った。NASH-HCC患者における活性型AIMの増加は特異性・感度ともに非常に高く、NASH-HCCに対する新規の有効なバイオマーカーとして大きく期待される。 さらに、活性型AIMのみを検出する抗ヒトAIMモノクローナル抗体を用いて、HTRF(Homogeneous Time-Resolved FRET)システムを用いたハイスループット測定系の構築に成功した。この系を用いて、薬学系研究科創薬機構との共同研究により、機構の有する約22万の低分子化合物に対し、AIM活性化能についてスクリーニングを行った。その結果、一次スクリーニングで約300個の候補化合物の絞り込みに成功した。 また、IgMおよびAIMに対しNegative stainの電子顕微鏡観察を行うことで、IgM-AIMの構造様式を明らかにすることに成功した。このことは、今後低分子化合物あるいは生理的活性化物質がどのようにしてAIMをIgMから解離させるのかを知る一助となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H29年度は、NASH-HCC患者における活性型AIMの新規診断への有用性を示すことができ、実際に診断薬利用へとステップを進めることが出来た。また、AIM活性化剤の探索においては創薬機構との共同研究によりAIM活性化剤としての低分子化合物スクリーニングに着手し、ヒット化合物が得られるなど順調に進展した。さらに、IgM-AIMの構造が明らかになり、化学的な見地からもAIMとIgMの結合・解離機構を明らかにする目的に非常に近づいたと言える。また、並行して、研究分担者の済生会吹田病院・岡上武先生のご協力により様々な施設の協力を得て、検体を提供していただくヒト肝疾患患者のリクルートを進めた。H30年度にはこれらの解析を進め、AIMと肝疾患の関連性についてさらに深く検討を進める予定である。一方で生理的活性化物質の同定には至らなかったが、総合的に見て当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
AIM活性化剤となるリード化合物を得ることが出来たため、今後さらにin vitro, in vivoで活性化能力を確認すると共に、安全性、安定性、薬物動態などを確認し、新規医薬品としてデザインを進め、AIM活性化医薬品の構築を進める予定である。同時に、肥満やNASH-HCCに対する効果も検討を行っていく。 急性腎障害時やNASH-HCC時にAIMを解離させる生理的活性化物質の探索については、これまで通りタンパク質であると仮定した探索に加え、それ以外の可能性についても検討を進める予定である。 また、ヒト肝疾患患者についてさらに拡大して解析を進め、AIMによるNASH-HCC診断法だけでなく、様々な角度からの診断法あるいは予後予測などを可能にしたいと考える。
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評価記号 |
評価結果 (区分)
A: 当初目標に向けて順調に研究が進展しており、期待どおりの成果が見込まれる
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