研究実績の概要 |
本研究は、共同注意に関する知覚指標を年齢変化や発達的変化の違いを踏まえ、精緻な数理モデルを構築することを目標としている。共同注意に関する知覚指標として、向かい合う他者の視線方向の知覚を取り扱う。作成された数理モデルを用いて、児童の障害の程度や種類により異なる(共通する場合も含む)視線知覚の性質を明らかにすることが目的である。本研究課題のプロジェクトの最終年度にあたる本年度は、昨年に引き続き発達障害児(発達障害の疑いのある児童を含む)を対象に行われた実験データを取得し、そのデータを解析した。その結果を博士論文内で執筆し、成果を報告した。 本年度は、視線知覚に関する基礎的な研究を昨年度より継続し、成果を積み上げた。これまでに積み上げた成果を日本基礎心理学会が発行している基礎心理学研究の第37巻第1号29頁~40頁に掲載した。さらに、2019年3月末現在、1本の学術論文が査読中である。 本年度は、昨年度に用いていた写像関数よりも柔軟な写像関数を用いて、一般成人を対象に行った実験データを再解析した。この成果を博士論文内で執筆し、成果を報告した。この解析方法は、他の知覚・認知空間の性質を探求する際にも用いることができると考えており、応用可能性を秘めている。さらに、視線知覚空間に関する研究の基盤である空間知覚の基礎的視座を身に着けるため、視覚誘導性自己誘導感覚に関する研究を行った。その成果は実を結び、学術誌(Experimental Brain Research)に掲載、国際シンポジウム(The 3rd International Five-Sense Symposium, at Kyushu University in Fukuoka, Japan)で発表することができた。
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