研究課題
特別研究員奨励費
当初の研究計画に記載した、外来配列の取り込みに関わる複合体の構造解析に関しては、複合体の構成要素のタンパク質の発現と精製には成功したものの、複合体の結晶をえることはできなかった。したがって、昨年から始めた新規CRISPR関連ヌクレアーゼであるCpf1の結晶構造解析に引き続き取り組んだ。昨年の研究成果から、Cpf1はCas9とは異なるPAM認識機構を有することが明らかになった。そこで、今年はCpf1のPAM認識機構に着目した。Cpf1はTTTVという配列を特異的に認識するが、他の配列を認識できない理由を構造から明らかにすることに成功した。Cpf1は標的DNAの形状と配列の両方を認識するが、そこではPAM認識に関わるチャネルの構造変化が伴うことが明らかになった。Cを多く含む配列ではTを多く含む配列とは異なる形状をとり、この形状の違いによりCpf1のPAM認識チャネルに適切に収納されないことが明らかになった。Cpf1のPAM認識機構のCas9との違いの詳細を明らかにすることに成功した。この研究成果は昨年Molecular Cell誌に掲載された。また、認識できるPAM配列を変更したCpf1の改変体が報告されている。しかし、そのPAM認識機構は不明であった。そこで、結晶構造解析からそのPAM認識機構の詳細を明らかにすることを試みた。構造解析の結果、通常のCpf1では標的DNAの副溝側から多くの塩基が認識される一方で、改変体では主溝側からの塩基の認識が増えていることが明らかになった。この成果もMolecular Cell誌に掲載された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Nature biotechnology
巻: 35 ページ: 789-792
Molecular Cell
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巻: 67 ページ: 633-645
Cell
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10.1016/j.cell.2016.04.003