研究課題
基盤研究(C)
温暖化操作実験のもと、微生物呼吸が長期に渡って測定されている西日本の森林において、遺伝解析を用いて土壌微生物動態を把握することで、温暖化に対して土壌微生物相がどのような応答を示し、結果として微生物呼吸がどう変動するのかといった、一連の微生物呼吸プロセスの解明を行った。その結果、温暖化環境下においても微生物呼吸量の減少をもたらすと考えられる土壌微生物種の消失や土壌微生物量の減少が生じないことなどが明らかとなり、森林生態系における土壌微生物相の高い温度耐性が、温暖化効果の長期維持(微生物呼吸量の増加)の要因になっていると考えられた。
森林生態系が将来に渡ってCO2吸収源として機能するのか、あるいは温暖化に伴って土壌有機物分解が促進し、更なる温暖化と微生物呼吸の増加が生じることで放出源へと転換するのかといった疑問に対する回答は、未だ憶測の域を出ていない。本研究では、温暖化操作実験下において土壌呼吸の連続測定が行われている西日本の森林において、最新の遺伝解析手法である「次世代シーケンサーを活用した環境DNA解析法」により、温暖化に伴う土壌微生物動態の変化を解明した。得られた知見はこれまでブラックボックスとされてきた「温暖化環境下における土壌微生物動態」の解明に寄与するもので、気候変動影響の将来予測に貢献するものと言える。
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