研究課題
基盤研究(C)
本課題は、超音波音響特性に基づいた非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断と発癌リスク分析を可能とする新たな肝組織脂肪酸マッピングを創成することを目的とした。マウスならびに臨床例における検討で、NASH群では単純性脂肪肝群に比べて組織インピーダンス値が有意に低値であり、肝組織における脂肪酸組成と脂肪酸自体の音響特性を反映したものであった。また発癌については、高分化癌発癌例は非発癌例に比べて、非腫瘍部における組織インピーダンス値が低い傾向にあった。
本課題の成果は、実臨床における脂肪関連肝疾患の診断と発癌リスク患者の囲い込みに極めて有用である。すなわち、単純性脂肪肝とNASHの鑑別において不要な肝組織生検検査を回避することが可能となり、発癌高危険群に対しては相応の診療を提供することができる。今後の急増が予想されるNASHに対して、脂肪酸マッピングを基盤とした超音波という非侵襲的な手法を応用することで、健診・検診の質や患者診療体制を飛躍的に向上させる研究成果である。
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