研究課題/領域番号 |
16K02458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田中 孝信 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20171770)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 19世紀英文学 / ジャーナリズム / 新しい男 / 新しい女 / セクシュアリティ / ジェンダー / セツルメント / 帝国 / スラム / C・R・アシュビー / E・M・フォースター / ギッシング / 都市 / 消費文化 / 道徳的性格 / ディケンズ / 英米文学 / 英国文化 |
研究成果の概要 |
19世紀末に〈新しい女〉の出現に誘発されて登場した〈新しい男〉は、彼女の社会的・政治的解放の試みを支持し助ける賛同者と位置づけられる。そして彼女のロマンティックな恋人でもある。こうした男性像の原型は、19世紀半ばの文学作品に見出すことができる。しかし世紀末小説には、〈新しい男〉を目指した男性が因習的な家父長制志向との間で葛藤する様も描き出される。それは理想像かもしれないが、女性の解放のみならず、イデオロギーとしての「男性性」に縛られた男性自身の解放をももたらすのである。さらに〈新しい男〉は、同性愛的友情によって階級的・人種的他者との間に民主的で平等な絆を築き得る可能性も帯びているのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の特色としては、国内外の英文学・英国文化研究ではほとんど顧みられることのなかった〈新しい男〉の生成過程と社会的反応を、文学とジャーナリズムとの関わりの中で、19世紀全体を俯瞰して捉え論じた点、及び〈新しい男〉を〈新しい女〉や反フェミニズムの女性だけでなく、階級的他者や人種的他者との関係からも捉えた点が挙げられる。結果として浮かび上がってきた〈新しい男〉の複層性は、西洋の影響を受けた明治期日本において文学やメディアが作り出す〈新しい男〉像への関心をも喚起する。それは現代の若者像に目を向けることにもつながり、地球規模で様々な境界が曖昧化する社会において、境界の持つ意味を再考する契機となる。
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