研究課題/領域番号 |
16K04724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教科教育学
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
高見 仁志 佛教大学, 教育学部, 教授 (40413439)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 実践知 / 新人教師 / 教師教育 / 熟練教師 / 即時の知 / 信念・価値観としての知 / 実践者 / 実践共同体 / 暗黙知 / 音楽科授業 / メンタリングプログラム / 教育学 |
研究実績の概要 |
本年度は,音楽に関する様々な活動に生起する実践知を探究する上で,得られた成果と方法論上の課題を明確にし,それらを横断的に検討することによって,これからの音楽教育研究の可能性を拡げることを目的として研究に取り組んだ。とりわけ,実践知の構造に関して,①音楽に関する実践知を「知覚」「思考」「行為」の相互作用として捉えた上で,調査対象となる4事例に基づいた共同研究者の考える実践知モデルを提示すること,②認知カップリング理論を解釈し諏訪らの理論を援用しながら,4事例の活動それぞれに生起する実践知を認知科学の観点から考究すること,の2点を柱として,これまでには語り得なかった「実践知の活動固有性」を超えた論考を試みた。 具体的には,共同研究者との各種活動に基づいた実践知モデルを提示したことがあげられる。 さらには,創発の場としての音楽表現指導鍵盤楽器アンサンブル・ピアノ・声楽の表現指導場面における指導者と学習者の対話,指導者と学習者の事後インタビューの内容をグラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析する方向性を示唆した。さらに指導者と学習者の間の創発として形成される音楽表現について「身体と言葉の共創」(諏訪 2016)の視点から考察を試みた。 こうしたモデル化によって,現場で生じる状況特異性を過度に捨象してしまうことの危険性をどのように回避していくかが課題として残ったものの,音楽に関する実践知のモデル化を通して,研究領域における実践知を関連づけ横断的に検討する足がかりをつくることができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年1月に行った調査(小学校音楽科における2年目教師の授業調査)に基づき,現在,音楽科における教師教育のあり方に関する学術論文を完成させ投稿している。この論文の審査は2019年6月の予定で,その結果に応じて同研究データを再分析しさらなる考察を加え,様々な学会で口頭発表することを予定している(2019年度中)。このように新人教師教育への応用や示唆を得るべく2018年度から2019年度へわたり,現在の投稿論文をさらに精緻な研究に発展させようとする課題が残っているため,「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の調査では,調査対象者を一人の新人教師とした。質的研究では,こうした少ない事例を読み解くことに価値が見いだされてはいるものの,さらにサンプル数を多くすることで研究の裾野を拡げたい。また,ここまでに得られた教師教育への示唆と,以前に筆者が提示した(2014)プログラムとを融合させることによって,音楽科における新人教師教育のさらなる充実をはかりたい。 ただし,こうした提言を実行に移すことは,多忙を極める教育現場の教師にとってたやすいことではない。それを可能とするのは,効率的,合理的,かつ的確に新人教師を育む能力を備えた,いわば教師の教師である教師教育者の存在が,鍵を握ると考えている。今後はこうした方向性を視野に入れ,音楽科における「教師教育者」に関連する研究にも着手していきたい。
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