研究課題
基盤研究(C)
本研究では、PMMA(酸素供給が低い)およびPDMS(酸素供給が高い)マイクロウェルチップを利用して、iPS胚様体を取り巻く酸素環境が幹細胞の分化特性に与える効果を評価した。PDMSチップのiPS胚様体は、PMMAチップよりも細胞増殖能や低酸素状態が改善された。また、PMMAチップでは肝分化が促進されるのに対し、PDMSチップでは血管系分化が促進され、酸素環境の違いによって分化スイッチング現象がみられた。これらの結果から、胚様体を取り巻く酸素環境は幹細胞特性を制御する重要な因子であることが明らかとなった。
再生医療や細胞アッセイなどの技術開発では、細胞特性を培養下でいかに制御するかが重要である。ここで、培養細胞の特性は栄養素、酸素、サプリメント、細胞代謝物などの様々な環境因子の影響を受ける。本研究では細胞を取り巻く「酸素環境」に着目し、酸素供給能が異なる独自の培養プラットフォームを作製してiPS細胞の特性を評価した。その結果、酸素環境の違いによって細胞の増殖性や分化状態が大きく変動することを明らかにした。これらの成果は、細胞特性を制御するための培養環境設計に重要な指針を与えるものである。
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http://chempro.env.kitakyu-u.ac.jp/~knakazawa/
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