研究課題
基盤研究(C)
近年、血管の酸素養分の運搬路という基本的な機能に加えて、血管によって構築される微小環境 (niche)の概念が提唱されており、組織形成の理解において、幹細胞を支持する生物学的適所としての血管の役割に注目が集まっている。大脳皮質は多種多様な神経細胞からなり、これらは全て発生期の神経幹細胞・前駆細胞から生み出されるが、皮質表面積の拡大を可能にする神経系幹細胞の系譜が如何なる分子機構によって調節されるのかは不明である。本研究では、発生期の大脳皮質において、脳室面と非脳室面で分裂する幹細胞(前駆細胞)が異なる血管由来の微小環境を利用して発生分化を調節する現象が見出された。
血管は、組織細部にわたり養分や酸素を運搬する極めて重要な器官の一つであり、木の枝のごとく一定の組織空間に分布する。血管が空間に如何に伸展し、その伸展を止めるのかという、血管発生を調節する分子機構は未だ未解明の問題が数多く残されている。組織内に構築される血管がどのようにつくられ、これが周囲の組織幹細胞と如何に連携しながら組織・臓器を構築するのかという問いは、効率的な幹細胞の培養法の確立や幹細胞を用いた再生医療の実現化に重要な知見が見出されることが期待される。
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120007129140