研究課題
基盤研究(C)
炎症性腸疾患では、炎症反応による酸化ストレスを伴い極性化した上皮細胞から成る管腔組織構造の破綻が確認される。しかし、酸化ストレスの細胞極性に及ぼす作用の詳細は不明であった。本研究では、「炎症性腸疾患で起こる管腔構造の破綻が、炎症反応を介した酸化ストレスによる aPKC の過剰な活性化を経た aPKC-PAR 複合体の形成阻害によって誘導される事を証明する」を目的とした。本研究課題により、炎症応答による酸化ストレスは、脂溶性情報伝達物であるPS(フォスファチジルセリン)の過酸化体を発生させ、aPKCの過剰活性化を引き起こし上皮組織の形態異常(極性異常)を引き起こす可能性が示唆された。
炎症性病態では、酸化ストレスに暴露されており、抗酸化作用を持つ薬剤の投与で細胞障害を抑制できると想定されるが十分な効果は得られていない。その理由として酸化ストレスによる脂溶性情報伝達物質の過酸化体の生成と、その生理活性の変化が抗酸化による防御機構を上回るためと考えられる。本研究課題により、「脂溶性情報伝達物であるPS(フォスファチジルセリン)の過酸化体」を同定し、aPKCの過剰活性化を介することをはじめて明らかとした。この成果は、炎症性腸疾患や癌などの酸化ストレスを伴う病態発症および重篤化をまねく共通の分子基盤と考えられ、炎症性腸疾患や癌などの新たな治療法確立のための分子基盤として有用である。
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