研究課題
基盤研究(C)
腹部大動脈瘤を作成するため野生型(WT)マウス、SMP30欠損(SMP30-KO)マウス、ApoE欠損(ApoE-KO)マウス、SMP30・ApoE両欠損(DKO)マウスに対しAngiotensinⅡを投与した。投与後の腹部大動脈最大径はApoE-KOマウスで拡大しDKOマウスではさらに増大する傾向となったが、SMP30-KOでは拡大が認められなかった。大動脈組織における炎症マーカーの発現はApoE-KOマウスにおいて亢進しておりDKOマウスにおいては更に増加していたが、SMP30-KOマウスでは認められなかった。SMP30は炎症反応の抑制を介して大動脈瘤形成を抑制していることが示唆された。
SMP30が炎症反応の抑制作用を介して大動脈瘤の形成を抑制することが明らかになった。ただし、AngIIの非存在下ではこれらの作用は見られなかったことからSMP30のこのような作用の詳細は未だ明らかではない。本研究よりSMP30が大動脈瘤の形成および治療の標的になり得ることが示唆された。今後益々、高齢化と食生活の欧米化により動脈硬化性疾患の増加が予想されるわが国においては、大動脈瘤の治療あるいは進行を遅らせる薬の開発は切実である。そういった意味においても大動脈瘤の形成を抑制する可能性があるSMP30の効果が示された本研究の意義は大きいと考える。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件)
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