研究課題
基盤研究(C)
本研究では、大動脈弁狭窄症が冠循環に及ぼす影響を検討した。重症大動脈弁狭窄症に対し、経カテーテル的大動脈弁置換術を施行した患者で術前後に経胸壁心エコー図による冠血流速予備能を測定し得た患者を対象とした。大動脈弁置換術前と術直後に左前下行枝遠位部の血流をカラードプラ法により検出し、安静時と最大充血時の時間平均冠血流速度の比を算出し、冠血流速予備能を測定した。安静時の冠血流速度は、術前に比べ、術後に低下し、最大充血時の冠血流速度は術前後で有意な変化は認めなかった。冠血流予備能は、術前と比較し、術後に有意な改善を示した。
大動脈弁狭窄症は高齢化とともに罹患率が増加し、冠動脈疾患を高率に合併する。一方で大動脈弁狭窄症が冠循環に及ぼす影響は明らかではなく、大動脈弁狭窄症に合併した冠動脈狭窄の評価法は確立されていない。本研究により、冠血流速予備能は、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術後、すみやかに改善することが明らかとなった。本研究結果は、大動脈弁狭窄症の手術前後の冠循環動態の動的な変化により、大動脈弁狭窄症に合併する冠動脈疾患の機能的狭窄度が変化する可能性を示唆する。したがって、大動脈弁狭窄症に合併した冠動脈疾患に対しては、大動脈弁置換術と血行再建の時期を考慮した治療戦略を構築する必要がある。
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