研究課題
基盤研究(C)
抗リン脂質抗体症候群患者(APS)で確認される自己免疫性補体活性化が流産発症と関連するのみならず、不育症一般に関連することを示した。 補体C1qに対する自己抗体(aC1q)のうち、陰性荷電リン脂質結合C1qが表出するエピトープを標的とする病原性抗体は補体活性化を促す。 aC1qは、APSや原因不明の不育症患者で高率・高力価に発現し、陽性例で補体活性化を認めた。 妊娠マウスにモノクローナルaC1qを投与したモデルでは血清C3a値上昇、胎盤組織への補体関連蛋白沈着とこれらと相関して胎仔吸収率亢進、胎仔/胎盤重量低下 を認めた。これらはいずれも、抗C5a受容体抗体の投与で対照群と同程度に改善した。
抗Cq抗体は、不育症や習慣流産における新たな病原性自己抗体である可能性が示唆された。その存在は補体系の活性化を介して胎盤不全を惹起し流産に至ると考えられる。そのため、不育症や流産においてaC1qは新たな治療ターゲットや病態マーカーになる可能性がある。少子化が進む我が国において不育症や習慣流産は大きな問題であり、本研究によってリスク例の抽出や新たな病態理解による新規治療が行われる可能性がある。
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