研究課題
基盤研究(C)
活性化好中球から排出されるクロマチン網であるNETsには、多くの細胞内構成蛋白が含まれ、細菌の捕捉以外の殺菌作用のみならず、血栓形成、癌転移、そして膠原病疾患の発症や自己抗体産生にも大きな役割を果たしている。殺菌作用以外は総じて、NETsは各疾患に悪影響を及ぼしている。本研究では、RA患者1例、成人発症スティル病患者1例、家族性地中海熱患者5例についてiPS細胞を樹立した。健常者iPS細胞由来好中球にPMA添加、NETsを検出した。コルヒチン添加でNETs産生は阻害できなかった。
膠原病疾患、自己炎症性疾患において、NETsの構成成分の内容、NETsの量、刺激に対する反応の違いが各疾患で異なり、病変局所のみならず、全身症状にも影響を与え、病態形成に重要な役割を果たしている可能性が高い。好中球は寿命が短く解析が難しい細胞であるが、iPS細胞より誘導した好中球は比較的寿命が長いため、解析が行いやすい。コルヒチンでNETs産生が阻害できないことから、今後、NETs産生阻害薬の開発が望まれる。
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