研究課題
基盤研究(C)
本研究では数値流体力学的解析結果を脳動脈瘤に応用することで血管内手術後の脳動脈瘤の再発の予測因子を探索した。その結果血管内手術によってコイルで塞栓された部位の圧力が高まることが危険因子であった。本解析は従来の数値流体力学的解析と同様に全ての患者に同じ条件で行っており、本来異なる個人差に基づいて解析していない点に問題があると考えられた。しかしこの問題は解析による結果の無次元化によって解決し、動脈瘤の再発因子である圧力差は感度100%、特異度93%と高い数値を示した。以上より当初必要と考えられた解析の個別化は不要で、本研究によって数値流体力学的解析による精度の高い治療前の再発予測が可能となった。
くも膜下出血の原因である脳動脈瘤の治療は、従来から行われる開頭クリッピング手術は治療後の再発が約1%と少ないが、開頭手術であるため侵襲が大きい欠点がある。一方、瘤内コイル塞栓術は大腿動脈の穿刺によって行えるため侵襲が少ないが、欠点はコイルの継続的な圧縮による動脈瘤の再発で、約10-15%に再治療が必要となる点にある。本研究によって血管内治療後の再発因子を治療前に予測できるようになったため、再発を回避する治療方針をたてることが可能となったことは臨床的に有用で意義深い。
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