研究成果の概要 |
1.位相計算的方法は,系の大域的構造とそのパラメータ変化を捉える計算機援用解析の方法であり,申請者らによって初めて得られた.この方法を生体分子の制御ネットワーク結合系の一つであるswitching systemsに制限し適用することにより,その特性を生かしたMorse分解等の系の大域的構造と分岐を包括的に扱う数学的定式化を与えた. 2. gene regulatory network等の複雑ネットワークの時系列データから,系の大域的構造を復元するための理論の構築と計算を行った. 3. 3D乱流のベクトル場の画像の時系列データからpersistent diagramなどの計算をして特徴を抽出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
申請者はこれまで, 分岐理論を用いた解析的アプローチやConley 指数などの力学系の位相不変量を用いたトポロジー的アプローチによる研究を行い, ホモロジー計算などの位相的方法に精度保証付き数値計算を組み合わせ、数学的に厳密で汎用性のあるアルゴリズムの構築を試みてきた.これを時間発展する系の解析に適用することにより, 時系列埋め込みを位相的計算的方法で見て, 従来の時系列解析とは違う視点から力学系の構造や分岐を見ることができる. 特に, この方法によって, Morse分解を得ることにより不安定不変集合を捉え, 系の大域的構造と分岐を見ることができ, 新しい時系列解析の側面を生み出している.
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