研究課題
挑戦的萌芽研究
平成28年度は、すい臓がんの肝転移の腫瘍の生検組織検体(凍結組織)を用いてRPPAの作製を検討し、手法の基礎を構築することができた。平成29年度は、凍結検体以外にも、ホルマリン固定後パラフィン包埋ブロックを用いた解析についても細胞RPPAとほぼ同じ条件でシグナル検出が可能であることを確認した。最終年度(平成30年度)、組織RPPA作製法・染色法について、技術的最適化の詳細を進め、Standard operating procedureの作成に取り掛かった。また、本基盤を用いて、TNIK阻害剤の治療効果モニタリングマーカーの探索し、候補分子を同定した。
がん精密医療はゲノム医療が中心であるが、検査後に治療が可能な症例は限られており、更なる改善が望まれている。腫瘍内のシグナル経路の異常をごく微量のサンプルから正確に把握できる逆相タンパクアレイを精密医療に応用できれば、現在、治療選択肢の無い患者にも薬剤の提示ができる可能性がある。本研究によって、組織RPPA基盤の確立することができれば、精密医療の質の向上をもたらす可能性がある。また、本基盤を用いてTNIK阻害剤のコンパニオンマーカー候補が同定できれば、薬剤開発を促進し、新たな大腸がん治療薬の創出に役立つと考えられるため社会への貢献度は高く重要な意義がある。
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