研究課題
挑戦的萌芽研究
哺乳類が一度に排卵する卵子の数は種によって厳密なコントロールがなされているが、その制御機構は解明されていない。本研究では排卵数を支配的に制御する卵巣内因子を探索するため、ウシ卵巣の顆粒層細胞を用いたトランスクリプトーム解析(RNA-seq)を実施した。その結果、最も大きく排卵まで至る「主席卵胞」と、二番目に大きく排卵されない「次席卵胞」の顆粒層細胞で発現量に差がある500以上の遺伝子を得た。このうち3個を「排卵数決定候補因子」として詳細な組織学的解析を行い、RNA-seqと同様の結果となることを確認した。
本研究では排卵数の決定に関わる可能性がある複数の因子を同定することに成功した。これらの因子の機能を促進あるいは抑制することで、家畜やヒトの排卵数を任意に調節できるようになる可能性がある。それによって、双子の出産が問題となるウシでは双胎の回避、ブタでは産子数を増やすことによる生産効率向上、卵巣機能障害を持つ家畜やヒトにおいてはその治療などへの応用が可能となり、獣医畜産・医療分野へ大きく貢献することが期待される。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
臨床獣医
巻: 35 ページ: 98-101
Journal of Reproduction and Development
巻: 62 号: 5 ページ: 471-477
10.1262/jrd.2016-075
130005431286