研究課題
若手研究(B)
腸管粘膜の結合組織中には様々な線維芽細胞様細胞(FBLC)が局在し,細網状構造を形成して,腸管の恒常性維持に貢献しているとされている。本研究では,serial block-face走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)を用いて,特殊な間質細胞として報告されるtelocyteを含めたFBLCの網羅的分類をラット小腸粘膜内で試みた。その結果,形態学的に4種類のFBLCが見出され,各種細胞マーカーの発現パターンからさらに細分化された。加えて,免疫担当細胞や神経線維と接着するFBLC種も同定し,SBF-SEMが細胞の特徴づけや細胞間相互作用を調べる上で有用な手法であることを示すことができた。
本研究では小腸粘膜内のFBLCを形態学的観点から網羅的に分類することができ,腸管粘膜内のFBLCに関する基盤的な情報を提供することができた。また,本研究で実施したSerial block-face走査型電子顕微鏡と細胞マーカーの併用によって,FBLCのような複雑な形状を示す細胞集団のより詳細な細胞分類が可能となることも示され,これらの解析が生体内における組織構造や細胞間相互作用の精査に有用であることが示された。本手法を駆使することにより,今後は腸管内における細胞間相互作用に関する研究を推進することで,FBLCなどが発揮する腸管粘膜内の恒常性維持機構の解明につながることが期待できる。
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