研究成果の概要 |
薬を創るには, 標的タンパク質に結合する低分子化合物 (リガンド)が必要であり, リガンドが未知である場合, 新たにこれを探し出すのは難しい. この研究の目的は, リガンドになりやすい化合物の集団 (ライブラリー)を構築する手法を開発することである. 最近では, より立体的な構造の化合物のほうが薬として有利であることが指摘されている. そこで, この研究では, 立体的な7-アザノルボルナン骨格を修飾することで, ライブラリーを構築するというアプローチをとった. このように構築したライブラリーの活性を評価することで, グレリン受容体およびオピオイド受容体に対する新規リガンドを取得できた.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既知のリガンドが存在しないタンパク質を創薬の標的とする場合, 膨大な数 (数十万程度)の化合物の中からリガンドを探し出すハイスループットスクリーニングと呼ばれる方法を取ることが多い. しかし, ハイスループットスクリーニングでリガンドを見つけられる確率は一般的に非常に低く, このことが医薬開発の遅れを招いている可能性がある. これに対して, 本研究でとった手法では, 23% (22化合物中5化合物)という非常に高い確率で, リガンドとなる化合物を見つけることができた. この手法により, 将来的には, 新たに発見されたタンパク質を標的とした創薬が容易になることが期待される.
|