研究課題
若手研究(B)
癌細胞における翻訳制御機構の一端を解明するために、tRNA修飾酵素FTSJ1が癌の動態をどのように規定するかを研究した。FTSJ1は癌細胞の幹細胞性を維持するのに必要であり、この発現低下により、癌細胞の自己複製能や造腫瘍能が著しく低下した。この原因として、FTSJ1ががん幹細胞性の維持に必要なCyr61やCTGFなどの液性因子の発現を制御していることを明らかにした。本研究の遂行により、今後革新的な抗がん剤開発に直結するデータを豊富に得ることができた。
本研究成果は、がん生物学において近年勃興しつつある「転写と翻訳の乖離」の問題解決の一端を担うものと考える。とりわけ、「転写と翻訳の乖離」に起因する「がん組織の不均一性」に関しては、がんを難治たらしめる「幹細胞性」の獲得・維持と密接に関係しているため、本研究で明らかになった事項を外挿すれば、「がん幹細胞を標的とする抗がん剤の開発」といった、全く新しい切り口からの制癌戦略の構築が可能となる。このことは、本研究成果が学術的に意義深いものだけでなく、がん治療法の開発といった社会的意義にも大きく影響を与えるものであると確信する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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