研究課題
若手研究(B)
コモンマーモセット を用いた研究により個体レベルのブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)の嘔吐メカニズムは明らかとなった。 すなわち、(1)経口的に摂取されたSEAは消化管内腔に到達すると、消化管組織内に侵入し短時間で粘膜下組織へと移行する。(2)SEAは粘膜下組織の肥満細胞 へと強く結合し、SEAが結合した肥満細胞は脱顆粒を起こす。(3)肥満細胞により放出されたヒスタミンが迷走神経を刺激することで嘔吐中枢へと伝わり、嘔吐 反射を惹起する。また、この迷走神経から中枢へと至る伝達にはセロトニンも関与している。このように細胞から個体レベルまでの嘔吐メカニズムを明らかにすることができた。
ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)は嘔吐活性を持ち、黄色ブドウ球菌による嘔吐型食中毒の原因毒素ですが、その嘔吐メカニズムはこれまで不明でした。今回、小型の霊長類であるコモンマーモセットを用いて嘔吐メカニズムを解明を試みました。コモンマーモセットの消化管においてSEと結合する細胞を探したところ、SEが粘膜下組織の肥満細胞を標的としており、さらにSEの作用により肥満細胞が脱顆粒を起こしていました。肥満細胞が放出する物質が嘔吐に関わると考えられたため消化管組織にSEを作用させたところ、ヒスタミンの放出が確認されました。
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