研究課題
若手研究(B)
88名のワルファリン服用患者を対象にした評価では、全血プロトロンビン時間は中央検査室で測定された血漿プロトロンビン時間と高い相関をもっていた。また同測定法は、心臓手術患者における血漿第II因子および第X因子と中程度の相関性を持って凝固因子欠乏を予測可能であった。ダビガトラン添加血漿を用いた全血凝固時間法の評価では、全血活性化部分トロンボプラスチン時間は、他の測定法に比較して、ダビガトラン濃度とイダルシズマブの拮抗効果の判定に鋭敏な測定結果を示した。本研究において、新しい全血凝固時間測定は、高い精度を持って各種経口抗凝固薬の効果や拮抗治療時のモニタリングに使用可能であることが示された。
近年、トロンビンや活性型第X因子を選択的に阻害する新規経口抗凝固薬が幅広く使用されつつある。これらは厳格なモニタリングが一般に不要であるが、出血性合併症の発生時や周術期の休薬期間設定といった臨床状況においては、その薬効の迅速評価が重要となる。その一方で、中央検査室で測定される血漿測定法では、標準化と測定所要時間の問題がある。本研究において、これら経口抗凝固薬の薬効評価を全血検体で高い精度を持って迅速に測定可能であることが示唆された。このことは、経口抗凝固薬服患者が出血時した場合において全血測定系によるモニタリングを導入することで止血治療のプロセスを改善できることを示唆している。
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