研究課題
若手研究(B)
ヒト卵巣組織をガラス化法または緩慢凍結法で凍結保存し各凍結法の手順で融解した群と,融解後にヌードマウスの腹腔内に異種移植した群と,凍結・融解・移植のいずれもしなかったコントロール群との3つに分け,凍結や融解の処置や異種移植が組織構造や卵胞の発育にどのように影響するのかを評価した.コントロール群と凍結・融解のみを施行した群では,卵胞が存在する皮質間質の線維化は認められず,卵胞の発育の程度に有意差は認められなかった.異種移植した群では間質は著明に線維化していたが,2次卵胞以降の発育卵胞が認められた.異種移植した群において,生着率,線維化の程度,卵胞発育の程度に凍結法による差は認められなかった.
若年がん女性などでの妊孕性温存処置の一つに卵巣組織凍結・融解再移植があるが,再移植後の卵巣組織では原始卵胞が著明に減少し,卵巣機能を維持できる期間には個人差が大きいことが判明している.本研究では,原始卵胞の維持に関わる卵巣皮質の間質構造は卵巣組織の凍結や融解処置では変化せず,再移植後の卵巣組織では線維化に伴い正常な間質組織が減少し,発育した初期卵胞が認められたことから,再移植後の生着過程で生じる間質の線維化が卵胞発育の活性化,原始卵胞の減少に関連することが示唆された.移植に伴う組織構造の恒常性の維持に関与している分子メカニズムの解明は,妊孕性温存処置の治療効果の改善につながると考えられた.
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