研究課題
若手研究(B)
本態性振戦の新規治療法を探索する目的で、自然発症性の本態性振戦モデルTremorラットを用いて、対症療法のβ遮断薬propranololの作用機序を解析した。Propranololは振戦発現の原因部位である下オリーブ核の神経興奮を抑制し、その作用は脳内β2受容体を介した反応であった。また、Tremorラットおよびaspartoacylase遺伝子欠損ラットは、いずれも下オリーブ核における5-HT代謝回転が上昇していた。さらに、aspartoacylase遺伝子の欠損は本態性振戦の発現感受性を亢進させた。本研究結果より、これらターゲットを介した本態性振戦の新規治療法が有用であることが考えられる。
本態性振戦は高齢者に多く発症する不随意運動障害であり、認知症やパーキンソン病などとの合併症が多く認められる疾患である。手先の不自由を伴う微細運動障害は、患者のQOLに大きな障害となっている。しかし未だ根本的治療薬は存在せず、より有効性の高い新たな治療法の開発が求められてきた。本研究成果は、本態性振戦の発現機序や対症療法であるβ遮断薬の作用機序、脳内5-HT代謝回転と振戦発現との関連性の解明に繋がるものであり、本態性振戦の新規治療法開発における重要な知見が得られたものと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件)
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