配分額 *注記 |
6,680千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,療労困憊に至る筋収縮後の筋疲労回復遅延の要因について,筋小胞体(SR)に着目して検討することであった.ラットの後肢筋を対象に生化学的分析を行い,以下の結果を得た. 1 坐骨神経に電気刺激を与え30分間腓腹筋を収縮させたところ,SR Ca^<2+>-ATPase活性は,1)腓腹筋表層部では,収縮開始1分目以降に低下すること,2)腓腹筋深層部では,収縮開始5分目に低下すること,3)ヒラメ筋では,変化しないことが示された. 2 5分間の収縮を行わせた後の回復期間におけるSR Ca^<2+>-ATPase活性の変化を,腓腹筋表層部を対象に検討したところ,1)収縮により低下したSR Ca^<2+>-ATPase活性は,収縮終了30分後ではコントロールの値にまで回復すること,2)この時コントロールと比べ,SR Ca^<2+>-ATPaseに含まれるカルボニル基の量は高値を,SR Ca^<2+>-ATPaseに結合するfluorescein isothiocyanate (FITC)の量は低値を示すことが観察された. 3 速筋から精製したミクロソームからグリコーゲンを抽出したところ,1)SR Ca^<2+>-ATPase活性は変化しないこと,2)SRの膜に付着するグリコーゲンフォスフォリラーゼの量は低下すること,3)SR Ca^<2+>-ATPaseに結合するFITCの量は増加することが認められた. 以上の結果から,酵素タンパクの酸化的修飾,SR Ca^<2+>-ATPaseのATP結合部位における構造的変化,SRの膜に付着するグリコーゲン量の低下のいずれもSR Ca^<2+>-ATPase活性の低下の要因ではないことが明らかになった.筋収縮後,低下したSR Ca^<2+>-ATPase活性の回復速度に収縮形態によって差異がみられるのは,カルパインの活性化の程度の違いあるいは酵素の二量体形成の程度の違いなどに素因があるものと推測される.
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