研究分担者 |
下村 眞美 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (50346128)
出水 順 大阪大学, 高等司法研究科, 特任教授 (80403020)
藤本 利一 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (60273869)
山下 典孝 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (00278087)
仁木 恒夫 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80284470)
福井 康太 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (00302282)
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研究概要 |
医療、知財および建築紛争等のような、その紛争処理に科学的知見を必要とするいわゆる専門訴訟と呼ばれる領域にいては、その事件内容の専門性、複雑さのために、審理期間が他の通常事件と比較して、相当程度の長期を要するものであると認識されてきた。そのために、まず要求されるのは、審理期間を短縮し、訴訟にかかる費用と時間を削減する効率的な審理モデルの構築である。しかしながら、効率性を過度に追求した場合、関係当事者の、とりわけ、患者側の紛争処理に対する理解、納得や満足といった感情が蔑ろにされることもないとはいえない。というのも、通常事件においても、難解な訴訟専門用語が戦わされる訴訟の場において、さらに、高度な科学的知見がその理解のために必要とされる医学的専門用語が、訴訟上、駆使されるからである。それゆえ、本研究では,効率性に配慮した審理モデルを企図しつつも、当事者が本案審理にさいして、疎外されることのないよう、専門家を含めたコミュニケーションの充実を図ることが重要であるということが明らかとなった。この点,とくに,専門家の意見をどのように調達し,裁判所,両訴訟当事者の間で共有するかが問題とされていた。日本の医療集中部を要する先端的な訴訟実務では,中立的な鑑定人制度の構築を実現する動きがあった。これに対して,アメリカ合衆国の医療訴訟の現状では,それぞれの当事者がベストと思われる専門家証人を法廷に招聘し,事件処理が行われてきたが,一方で,中立的な立場からの専門家意見を調達すべきとの見解が出され,そのような動きも見られつつある。
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