配分額 *注記 |
13,920千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 720千円)
2007年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2006年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2005年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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研究概要 |
夏季に貧酸素水塊が広域かつ長期間に発生している奥部西岸域の2観測地点でDoPa型多項目計測装置を用いて海底上30cmの流速,DO,塩分,水温などを2005年〜2007年夏季に1時間ごとに自動計測し,これらの詳細なデータを基に貧酸素水塊の発生状況を明らかにした.貧酸素水塊の発生に合わせて,この海域に設定した縦断及び横断方向の測線に沿い流速,DO,塩分,水温の鉛直プロフィルを多項目水質計で測定し,貧酸素水塊発生と密度分布構造との関連性を把握した.また,貧酸素水塊発生時に2観測地点で海底から海面まで採水(0.5〜1.0m毎)した試料の懸濁態有機物,栄養塩類の定量分析と底泥,底層水の酸素消費量の測定を行い,底層の酸素消費速度が懸濁態有機物量によって大きく左右されることを明らかにした.さらに,現地観測結果に基づき奥部西岸域に設定した塩分,淡水及びDO収支に関する2層ボックスモデルを34年間の佐賀県浅海定線調査データに適用し,この海域における水平及び鉛直方向の移流速度,表層と底層間の鉛直拡散係数及び密度成層強度,底層のDO消費速度の平年値の月変動を求め,密度成層強度の高くなる夏季において鉛直拡散係数が低下し,逆に底層のDO消費速度が増加することを示した.奥部西岸域における貧酸素水塊発生は,密度躍層の形成に伴う表層から底層へのDOの鉛直拡散フラックスの低下と水温上昇や懸濁態有機物量の増加による底層でのDO消費量の増大に起因することを明らかにした.一方,潮汐発生水路を用いて密度成層場における貧酸素水塊の発生防止ブロック周辺の流れ構造を3次元超音波流速計及び可視化法により計測し,乱れ強度,渦スケール及び渦動拡散係数を算出した.その結果に基づき,貧酸素水塊の発生防止策の1つとして湧昇流を効率的に発生させるブッロクの設置が有効であることを示した.貧酸素水塊の発生時には底泥からのNH_4^+の溶出量が増大することや貧酸素水塊の頻発する海域では生態系が貧困であることを明らかにした.
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