配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 600千円)
2007年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2006年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
骨髄幹細胞を用いた嗅組織の再生について検討するため,以下の研究を施行した。 1)骨髄細胞の嗅細胞への分化能を検討するため,免疫寛容マウスにGFPマウス骨髄細胞を経静脈的に移植した.レシピエントマウスの嗅上皮内に散在するGFP6^+OMP^+細胞が確認された.GFP^+細胞は粘膜基底層から中層にかけて垂直性に連続して認められ,移植後経時的に増加傾向を示した.骨髄細胞は嗅組織幹細胞として嗅上皮に取り込まれ,嗅細胞への分化したことが示唆された. 2)嗅上皮傷害時の上皮再生過程における骨髄細胞の関与を解析するために,GFPマウス骨髄細胞の全身および局所(点鼻)移植を行なった。傷害された嗅上皮ではGFP^+細胞の増加が認められたが,GFP^+OMP^+細胞は観察されなかった.局所炎症によりサイトカインなどの微小環境が嗅細胞への分化より組織修復に有利な条件になっていることが示唆された。 3)骨髄細胞を嗅細胞分化への方向付けをした組織幹細胞として移植することを目的として,Notch Signal系やプロラクチンが嗅組織分化や再生・増殖に関与するかを検討した。嗅上皮の発生および再生・増殖過程においてもNotch Signal系やプロラクチンは重要な役割を果たしていることが示唆された。 4)骨髄細胞の局所移植による生着および組織細胞への分化の検討を手技が容易で評価しやすい唾液腺を用いて行った.骨髄細胞の継代細胞を局所移植した群が,骨髄細胞を用いた群より取り込み率が,偽陽性の数を考慮しても良好であった。またGFP+ Aquaporin5^+細胞が観察されたことは,移植された骨髄細胞が腺細胞への分化を示唆する.5)骨髄細胞の多様性分化能を確認するために内耳毒性をもつアミノ配糖体を投与後に内耳を観察した。GFP^+細胞は内耳感覚上皮には観察されなかった。 6)G-CSF投与により骨髄由来細胞の嗅上皮への取り込みが上昇するかをメチマゾールによる嗅上皮傷害モデルで検討した。G-CSF投与によって,嗅上皮への骨髄細胞の取り込みが上昇する傾向が認められ,G-CSFの有効性が示唆された。
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