研究課題/領域番号 |
17520162
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 光治 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70181708)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,880千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 180千円)
2007年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ヴィクトリア朝 / 狂気 / 都市生活者 / ディケンズ / ギッシング / 自殺 / イジメ / 幽霊 / ギャスケル / 社会的文脈 / 心理的文脈 |
研究概要 |
本研究は、ヴィクトリア朝の文学テクストを一次資料とし、そこで克明に描写されたイギリスの都市生活者に観察できる狂気の諸相に焦点を定め、人間が一定の社会的状況のもとで示す行動の法則性を突き止め、様々な社会的要因と個人の心理状態との相関関係を解明したものである。 第1部の「ディケンズと狂気」では生まれか育ちかという単純な二者択一では記述できないディケンズの作品における狂気の概念を詳しく調査し、狂気の結果としての自殺(神の似姿を殺す大罪と見なされる自殺)および狂気に支配された時代精神や社会風潮が「抑圧の移譲」として黙認するイジメに関して分析した。 第2部の「都市生活者の狂気」では、産業革命後に前近代的な帰属意識を喪失し、都市空間における孤立によってアイデンティティの危機に陥った後期ヴィクトリア朝のギッシングと彼が先輩作家として敬意を払って批評書まで書いたディケンズの作品を考察の対象にした。 第3部の「狂気と罪悪感の投影物としての幽霊」では、これまで様々な解釈を許容してきたヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』とディケンズの『大いなる遺産』とを比較し、それぞれの主人公たちの心理状態と幽霊体験との相関関係を明らかにした。 なお、このような観点に立って人間の心に潜む狂気を描いたヴィクトリア朝の小説家、メアリ・エリザベス・ブラッドンとJ・S・レ・ファニュによる罪悪感の投影物としての幽霊物語をそれぞれ翻訳し、報告書に収録した。
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