研究概要 |
配管システムの流動抵抗減少に効果を発揮する界面活性剤の流動メカニズムを明らかにすべく,直円管および曲率半径比(管軸曲率半径/管内半径)4の曲がり管を設置した流動試験装置を製作し,レオロジー特性の取得,圧力測定,流速測定を通じて総合的に検討した. 本研究で取得されたデータおよびその解釈は今後の流動抵抗減少技術に関する資料として活かされる.レオロジー特性の取得により,本研究で使用した界面活性剤(LSP?01M)においても流動抵抗減少剤に共通のせん断誘起状態が発生することを確認した.直円管の試験では境界層の発達過程を明らかにし,最大70%を超える流動抵抗減少があること,レイノルズ数の増加に伴って抵抗減少効果が得られなくなるが,重量濃度50ppm以上では急速な効果消失はなく,抵抗減少効果がある程度減少した状態が続くこと,壁座標で整理した流速分布を示した. また,管軸方向と半径方向の速度変動相関であるレイノルズせん断応力抑制の原因を調べるために詳細な測定を行い,高速流の外向き運動とイジェクション,低速流の内向き運動とスウィープの確率密度分布がそれぞれ対称になることによってレイノルズせん断応力が抑制されること,管壁付近において見掛け粘度がせん断誘起状態のそれと一致し,管壁に非常に近い部分では見掛け粘度が低下することを示した. さらにこの見掛け粘度こう配が管壁垂直方向速度変動に及ぼす効果を考察し,レイノルズせん断応力抑制の原因を説明した.曲がり管の試験では抵抗減少効果が大きい場合には曲がり管によって発生する乱れが抑制されにくいこと,曲がり管内側に低速,外側に高速流体が蓄積し,その混合は高せん断になるまで起こらないこと,曲がり管外側の乱れが著しく抑制されることを示した.
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