研究概要 |
薬剤過敏性症候群(DIHS)の患者3名における経時的な末梢血のフェノタイフの検討から,病初期にはCD25陽性CD4陽性細胞が増加し,その後急速に減少することを見出した。また,この増加のピークと本患者におけるヘルペスウィルスの再活性化の時期はほぼ一致することから,この細胞は薬疹の発症に関与する他に,免疫抑制状態を誘導して潜伏しているヘルペスウィルスの活性化にもかかわっている可能性がある。 カルパマゼピンによるDIHS患者2名およびトリベノシドによるDIHS患者1名の末梢血を採取し,薬剤の添加培養および希釈法を用いて,各々8,10,10の計28個の細胞株を樹立した。樹立した細胞株は,しかしながら極めて薬剤刺激による増殖反応が乏しく,刺激指数で1.5-4程度であった。 DIHSの患者1名では,浸潤皮膚から大量のリンパ球を採取し得た。皮疹の軽快した約1ヶ月後に患者がら単核細胞を採取し,皮膚由来のリンパ球をCrラベルして標的細胞とし,末梢単核細胞の皮膚浸潤リンパ球に対する細胞障害性を検討した。すると,対照患者であるアトピー性皮膚炎患者,乾癬患者においてはみられぬ皮膚浸潤細胞に対する細胞障害活性を認めた。患者皮膚由来のリンパ球のDNAを抽出して,ヘルペスウィルス群のゲノムの有無をnested PCR法にて検索したが,すべて陰性であった。 以上の結果から,通常の薬疹と比べ,DIHSは異なった免疫反応が介在していることが示唆された。
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