研究課題/領域番号 |
17654065
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 磁壁 / ダイナミクス / ラチェット効果 / 強磁性細線 / 巨大磁気抵抗効果 |
研究概要 |
ラチェットとは、非対称ポテンシャル中の粒子の拡散に方向性を生み出す機構であり、生体内の分子モーターや筋肉、マイクロマシンの動力などのモデルとして注目され、さまざまな分野で盛んに研究されている。本研究は、強磁性細線中に非対称構造を付加することで磁壁移動に対する非対称ポテンシャルを構築し、単一磁壁の動的挙動について詳細に検討することで磁壁移動における磁気ラチェット効果を研究することを目的としている。本年度に得られた結果を以下にまとめる。 非対称周期構造をもつサブミクロン磁性細線におけるスピントランスファー効果による磁壁の電流駆動現象について調べた。試料は電子線リソグラフィーとリフトオフ法によって作製し、磁気力顕微鏡(MFM)を用いて磁性細線中の磁壁を直接観察した。 磁性細線中の非対称構造から磁壁が電流駆動によってデピニングするために必要なしきい電流密度が磁壁の伝搬方向によって異なることが明らかになった。さらに、非対称構造からの磁壁のデピニングをアシストする外部磁場を印加した場合に、磁壁が電流駆動するために必要なしきい電流密度がどのように変化するかについて調べた。アシスト磁場はNiFe細線の長軸方向で、磁壁をデピニングさせたい向きに印加した。磁壁を非対称構造から電流駆動させた場合、アシスト磁場の増加とともにしきい電流密度が低減することが分かった。さらに、磁壁を左方向、または右方向にデピニングさせる場合で、しきい電流密度のアシスト磁場依存性の傾きが異なることが明らかとなった。このことから、電流駆動と磁場駆動を組み合わせることによっても、非対称構造によるピニング・ポテンシャルの非対称性を示す実験的に見出すことができた。
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