配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2007年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2006年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2005年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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研究概要 |
内殻励起光化学の興味の一つは,分子の内殻励起に伴う特異な反応過程を詳細に調べ,これを積極的に活用することにある。すなわち。適切な単色光を用いて分子内の隣接する原子を識別して光励起すれば,内殻電子の局在性に起因する化学結合切断のメカニズムを探ることができる。その目的のため,本研究では「解離片の運動エネルギー」に着目して内殻励起分子の解離ダイナミクスを考察する。本年度は以下のことを実施した。 フッ素原子を含む有機化合物の内殻励起・解離ダイナミクスについて系統的に調べるために,四員環構造をもつパーフルオロシクロブタンで実験を行った。具体的には,フッ素内殻から様々な励起状態への遷移における,解離生成イオンの収量変化や励起光の偏光に対する解離イオンの角度分布と解離イオン対の相関スペクトルを測定した。データ解析の結果,炭素端と同様,従来Fls→δ^*(CC)遷移と帰属されていた688.5 eVの第一共鳴ピークは,F 1s →σ*(CF)遷移と帰属すべきであるとの結論を得た。解離生成イオンについて,CF^+イオンが最大収量を与えることは炭素内殻領域と同様であったが,フッ素領域ではF^+イオンの収量が増加した。解離イオンの角度分布ではF^+イオンの異方性が顕著に現れた。一方において,解離イオン対の相関スペクトルから,最も多く生成する解離イオン対はCF^+とF^+およびCF^+と CF_2^+であることが分かつた。さらに,分子内転位が起こった後に生じた解離イオンの存在もみいだした。 さらに,今年度はこれまでの研究で得た研究成果の学会発表を積極的に行った。
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